(2004年12月号)
ハーセプチンは転移性乳がんに有効な画期的な薬です。
乳がん細胞に「手錠」をかけ、がん細胞を兵糧攻めにして増殖を抑えるような働きをします。
ただしハーセプチンの治療はHER2というタンパク質が陽性の患者さんに限られます。
HER2陽性の転移性乳がんで腫瘍縮小効果が認められた薬
HER2陽性の転移性乳がんが対象
ハーセプチンは分子標的治療薬として、日本で最も早く製造販売が認可された薬剤です。
通常乳がん細胞の進行はとても遅く、直径1センチになるのに10年くらいかかりますが、中には増殖のスピードが早い細胞があります。研究の結果、その細胞は表面に「HER2タンパク」という受容体を持っていることが判明しました。パーセプチンはこのHER2にくっつくことで、がん細胞の増殖を抑える働きがあります。
乳がんだけでなく卵巣がん、肺がん、胃がんなどにHER2を持ったがん細胞があることが報告されていますが、とくに乳がんにおいて、予後を決定する因子の一つと考えられています。日本では、転移性乳がんでHER2の過剰発現が認められた患者さんにのみ、適応が認められています。したがって、手術をした後、もしくは手術をする前で、すでにもう転移がわかっている症例しか対象になっていません。
!doctype>